靴職人を目指す高校生タカオと年上の女性ユキノの物語。
雨の日にしか出会わない二人。
その雨の描写が素晴らしい。
タイトルが表すように万葉集が引用される。
学校の黒板に教師が書く歌は旅人の
「世の中は 空しきものと 知る時し いよよますます かなしかりけり」。
古典の教師であるユキノが口にするのは
「鳴る神の 少し響(とよ)みて さし曇り 雨も降らぬか きみを留めむ」。
そしてタカオはユキノに
「鳴る神の 少し響みて 降らずとも 吾は留まらむ 妹し留めば」
を返す。
〜雷が少し響いて空が曇り、雨が降らないかしら。
あなたにここにずっといてほしいから〜
〜雷が少し鳴って雨が降らなくたって、
ぼくはここにいるよ。
君が引き止めるのなら〜
現代でもちっとも変わらない万葉の人々の恋心。

言の葉の庭 - 新海誠, CoMix Wave Films