小説やノンフィクションを読むのとは違う、
ほっとしたひとときのために。
純粋な楽しみのために。
絵には相当うるさい方なので、
とりあえず気に入った絵じゃないと読む気が起こりません。
リスベート・ツヴェルガーの絵は大好き。
今回ご紹介するのはアンデルセン原作の「人魚ひめ」。
アンデルセンのお話には、たまらなく好きなものが多いです。
人間の王子に恋して、
声を失い、足の痛みにこらえてまでも人間になりたかった人魚姫。
最後は王子と別の王女との幸せのために、
海の泡になることを選びます。
無償の愛はあまりに悲しく、おとぎ話なのにハッピーエンドには終わりません。
リスベート・ツヴェルガーの絵は沈んだ色調で海の世界をファンタジックに描きます。
人魚の長く漂う髪、海の中の不思議な建築、うろこ模様の金色のドレス、面白い形の魚たち。
北の海の人魚の世界を表現するのに、
明度の低い色彩が特徴のリスベート・ツヴェルガーの絵はぴったりです。
原作:アンデルセン
文:角野栄子
絵:リスベート・ツヴェルガー