2014年10月18日

福岡県美「とっとっと?きおく☓キロク=」展は11月24日まで開催中

昨日、仕事帰りに県美に立ち寄る。
「とっとっと?展」を見るためだ。
学芸員の愛情が籠もった展覧会は見ているときも、
見たあとも、とてもいい気分になる。
県美の収蔵品と今、福岡で活躍する作家の紹介なんて、
見に行くまではどんなものか想像つかなかった。
通常、収蔵品の展示となると、
カビ臭い感じを予想してしまう。
でもそういう思いは見事に裏切られる。
一点一点に対する企画者の愛があると、
こうなるのかという思いが見る人を幸せにしてくれる。
まず新旧の作品が入り乱れたヒエラルキーなしの並べ方がすてき。
あえて作品にキャプションがつけられていなくて、
先入観なしに作品と向き合える。
作品についてもっと知りたいときは
ハンズさんと呼ばれる会場にいる方たちが詳しく説明してくれる。

2014.10.17県美.jpg

1番めの作品のタイトルは「Rien」。フランス語でなんにもないという意味。
記憶☓記録と題された展覧会でRienという意味深なタイトル。
わたしたちから記憶と記録を取ると何も残らない。。。

古賀春江の横に山本作兵衛が並んでいる面白さ。
そしてその作兵衛さんの絵がいつもの炭鉱の坑内ではなくて、
赤いストールがかわいらしい木枯らしをゆく子どもたちの絵だ。
まるで絵本か小説の挿絵のよう。
ぴゅうぴゅう吹く北風が描き込まれているのがすてき。

会場を見て回っていると気付く、書庫の中ふうの、
積まれたダンボールがあったりする、
きちんと観を取り払った会場構成がいい。

江上茂雄の作品の奥に、わたしのお目当ての菱川辰也の作品を見つけた。
今、風景を描く人の中で最も好きな画家。
作品に漂う孤独感、寂寥感、静謐感。
賑やかな福岡の街の奥に見える、この画家の心象風景。
抑えた色調、その線。
好き過ぎて多くを語れなくなる。この絵の前では。。。
一人ぼっちに思えるとき、一人で立っているのが辛くなったとき、
こんな絵の中に、わたしはいる。
どんなに街がにぎやかでも、どんなに人がそこにいても、
人は孤独を覚えるものだ。
その孤独を見つめたとき、こういう絵が描けるのだと思う。
この風景の中を歩いたことがある。
生来人は孤独なものであるから、それが漂う絵画にこうも引かれるんだろう。

こんなすてきな企画をする学芸員がいる県美って、なかなかでしょ。
見に行ってね、ってのが感想です。
posted by 理乃 at 16:12| Comment(0) | ★ART | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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