2007年05月06日

井上靖の「額田女王」

古都太宰府を歩くと歴史を知りたくなります。
古代の山城、大野城や水城、大宰府政庁の創建当時の様子ってどんなだったのだろうって。
白村江(はくすきのえ)の敗戦のあと唐の侵攻を恐れて築いた水城。
白村江の戦いって歴史では習ったものの、
どんな戦いだったのかちっともイメージが涌きません。
たとえ玄界灘を渡っても生きて帰って来れれば運がよかったあの時代、
大船団を仕立ててどのように船出していったのでしょう。

何か白村江の戦の時代を描いた小説がないかなと探してみて出合ったのが井上靖の「額田女王(ぬかたのおおきみ)」でした。
額田女王ってあの万葉の歌人です。

額田女王額田女王
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価格 :
[タイトル] 額田女王
[著者] 井上 靖
[種類] 文庫
[発売日] 1972-10
[出版社] 新潮社

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小説のヒロインは額田女王。
そしてヒーローは中大兄皇子と大海人皇子。
大化の改新、遷都、白村江の戦いと激動の時代のお話です。
百済からの使者より新羅が百済を滅ぼしたことを知ると中大兄皇子は兵を送ることを決断します。
倭・百済の連合軍と唐・新羅連合軍との戦いは当然のごとく大敗。

激しい政務の中、中大兄皇子と大海人皇子の二人ともが思いを寄せていた女性が巫女である額田女王。
しかし額田は巫女としての特殊な立場もあり、大勢の妃の中の一人になることはよしとせず、どちらの妃となることも拒否します。
優れた歌人であったことからも分かるように、
自己主張ができた自立した女性だったのだと思われます。
その辺が二人の皇子の心を捕らえたのかも。
何分宮廷に仕える巫女という身分ですので、
本当の自立はありえないのですが…。

白村江の戦いに負けた中大兄皇子は遷都したり、水城をつくったりして国を守ろうと大変な政務に明け暮れ、途中で病のために亡くなります。
中大兄皇子の後を継いだ大友皇子に対して大海人皇子が壬申の乱を起こしたところで物語は終わります。

読後、飛鳥時代のイメージはずいぶんふくらみました。
読み始めた動機は「水城はどんなふうに築かれたのか知りたい」ということで、その記述を期待していたのですが、
実際にあった記述は「水城を築いた。何町にも及ぶ堤をつくって濠に水を入れた」といったくらいでちょっと残念。
でも飛鳥時代に触れたい方にはおすすめの一冊です。


ラベル:井上靖 額田女王
posted by 理乃 at 14:21| Comment(0) | TrackBack(0) | ★図書室 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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