2007年05月24日

小野不由美の「屍鬼」

冬の間は風邪をひかなかったのに、
ここ数日風邪でダウンしてました。
風邪引きの前に買い込んで読み出した本を
正に憑かれたように読みふけりました。
風邪でも引かないと一日読書なんて贅沢できないから、絶好のチャンス?
でもあまりに熱中して、それで風邪が長引いたかも…。
最後は読み過ぎて頭痛。
最初は読破できるの?と思ってました。
だって全5巻なんです。文庫版ですけど。
ところがところが、正にジェットコースターノベル。
読み出したら止まりません。
しばらく舞台の村に行ってました。

それがこの本。
「屍鬼(しき)」。
小野不由美の本です。ホラーです。
コワイタイトルですね。
そうコワイです。でも哀しい。

屍鬼〈1〉屍鬼〈1〉
販売元 : Amazon.co.jp 本
価格 :
[タイトル] 屍鬼〈1〉
[著者] 小野 不由美
[種類] 文庫
[発売日] 2002-01
[出版社] 新潮社

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平穏な、でも都会から越してきた夏野のような少年にとっては
抜け出したくてたまらない鄙びた村、外場村。
昔ながらのしきたりが生きるこの村に、
突然どこからか洋館が移築されます。
それから村では人々が原因不明の病で亡くなっていきます。
村を背負う若き僧侶・静信と医師・敏夫は病の原因を突き止めようと寝る間も惜しんで奔走します。

洋館に現れたのは美しく意味あり気な家族。
なかでも沙子(すなこ)は13歳にもかかわらず大人びた少女で、静信を翻弄します。

1巻では村の日常が描かれます。
登場人物の数がとても多くて混乱しそう。
でもあとで重要な役割を持って再登場するのでしっかり頭に入れながら読まなくてはなりません。
村の濃密な家族関係に鬱積している人、
村の生活に憧れて都会から移り住んで来た家族。
やぼったい田舎が嫌いで都会に出ていきたくてしょうがない少女。
とても緻密に村の人間一人ひとりが描かれているために、
このとんでもない展開をしていく小説にリアリティがあるのです。
外場村そのものの歴史、地理…、外場村は本当にある村のように驚くほど丹念に描かれています。

ラスト正義を行使するための暴力はあまりにむごい…。
もちろん悪がふるう暴力はそれ以上にむごいのですが。
暴力をふるわないために正義を行使しないのが善なのか、
正義はどうあっても行使すべきもの、それが善なのか…。
矛盾をつきつけられます。
感心するしかない労作。
読後、はかなさを感じてぼうっとなります。

特に夏野。
ちょっと生意気で、反抗的で鬱屈した青春の真っただ中にいたのに、すべて失われてしまって、哀れでなりません。
村を嫌って勉強して出て行こうとしたのに、
いつの間にか村の友人を救おうとするほどになっていた健気な少年…。心に残る少年です。





posted by 理乃 at 00:22| Comment(0) | TrackBack(0) | ★図書室 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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