といっても伎楽って、あんまり見る機会がないですよね。
わたしも見たのは2回目。
今回は九州国立博物館で開催されている「未来への贈りもの〜中国泰山石経と浄土教美術」の関連行事として行われた公演(6月2日)を見たのです。
前から2番目で見られたのでラッキーでした。

(九州国立博物館へ通じるトンネルの動く歩道。光が七色に変化します。)
伎楽とは古代の仮面劇。
中国や日本(飛鳥時代〜奈良時代)で演じられていました。
日本書紀によると日本伝来は612年。
百済人の味摩之(みまし)が伝えたとのこと。
奈良時代の大仏開眼供養(752年)に上演され、
正倉院にはその際に使用した伎楽面が残っています。
太宰府でも新羅からの使節などを歓待するために上演されていました。
伎楽は廃れていましたが、近年復元。
太宰府の観世音寺に残る伎楽面を見て、
なんて面白いお面だろうとかねがね思っていたので、
今こうして復元されたものを見られることをうれしく思っています。
今回の出し物は玄奘が主人公の創作劇「三蔵法師」。
演じたのは伎楽の研究をしている天理大学雅楽部の学生たちです。
仏典を求めてインドへ旅する玄奘の物語がとても分かりやすく演じられます。
砂漠で獅子に襲われたり、
西域で酔胡王に酒宴に誘われたり、
飢えと乾きに倒れたところを救われたり、
波乱万丈の旅の果て、
インドで仏教を学びます。
帰国したのちは仏典の翻訳に取り組むのです。
伎楽面は頭からすっぽりかぶるもので、何とも面白いもの。
動きも独得。笛や鼓や銅鑼が音楽を奏でます。
京都で作られたという古代の衣装も素晴らしい。
古代の色は自然のものばかりを用いて染められており、
その豊かな色合いがすてきです。
本来は無言劇ですが、僧侶が声明でストーリーを語ります。
見る機会の少ない伎楽ですが、
来年5月5日、玄奘ゆかりの寺、奈良の薬師寺で行われる「玄奘三蔵会大祭」行けば見ることができます。
三蔵法師役は有名な俳優が演じるようです。
薬師寺といえば世界遺産。
どうせ行くなら5月5日の伎楽上演に合わせてがおすすめです。
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