なかなか川下りなんてしないものです。
しかも夕方からできるなんて思っていなかったので、
沖端で声をかけられたときは意外でした。
せっかくだからと乗船してみたら、
素晴らしく気持ちよかったのです。
第一、涼しい。
川面を吹く風が心地よすぎます。
第二、人が少ない。
ほかに一艘も出合いませんでした。
ゆっくりゆっくり堀を漕いで進む船。
低い橋を身をかがめて潜ってゆきます。
両側の樹々の枝が川にしなだれかかっています。
柳の木に雄と雌があることを知りました。
雌のほうが、より葉が細長く、
ゆえによりしなだれています。
小野洋子さんの祖先が住んでいた住居跡も、
白秋が高校に通っていた道も船頭さんが教えてくれました。
思いがけなかった夕暮れ時の川下り。
朝から700編くらいの詩を読んで疲労していた頭と眼を
休ませてくれました。