2017年03月20日

夢野久作 「犬神博士」

3月13日、箱崎公民館であった「ハコザキ夜読」。
第一部は杉山満丸さんの「夢野久作と箱崎」という講演でしたが、
第二部は夢野久作の「犬神博士」の読書会でした。
予約も準備もできなかったわたしは参加できませんでしたが、
本日「犬神博士」を読み終えました。

犬神博士 (角川文庫) -
犬神博士 (角川文庫) -

なんて、面白い小説!
ど、ど、ど、どうっと読み上げてしまいました。
犬神博士の本名は大神二瓶(にへい)。
神通力のある犬神博士にどうしてその力を得たのかを
新聞記者に聞かれ身の上話をすというのがこの小説。
明治の半ば、犬神博士が7歳のとき、
チイと呼ばれていたころの話です。

チイは大道芸人の両親に攫われて育てられ、
男の子でありながらオカッパ頭の女の子を格好をさせられ、
卑猥な踊りを踊って各地をさまよっていました。
博多の町に来たとき猥褻罪で警察に捕まり、
保護されたときに悪どい両親を健気にもかばい、
県知事に見込まれます。
県知事が引き取って面倒を見るというので両親はチイを連れて逃亡。
炭鉱で盛んになった直方に行きます。
泊まり込んだ木賃宿で主人のイカサマ賭博士にしてやられ、
両親はチイを差し出す証文を書かされ、今度は宿に火をつけ逃亡。
折り悪く台風の日でチイは一人船に乗り川を下り、
武芸の達人の老医師に救われ保護されます。
チイを取り戻したい県知事と、
筑豊に手を伸ばしてきた玄洋社の社長との切ったはったの大喧嘩に巻き込まれ、
その場から逃走するところで小説は終わります。
興味深いのはチイという美少年。
県知事も玄洋社の社長も警察もヤクザもものとのしない7歳児は
恐るべき洞察力のあるただならぬ子ども。
炭鉱でいざこざがあれば困るのは直方の民衆と、
なんとかしようとするチイは声を出せない民衆の代弁者。
ズケズケと思ったことを口にし、悪を許しません。
明治の炭鉱の利権争いを痛快にかっ飛ばす冒険小説でもあります。
異型の子どもチイは神なのでしょう。
今、利権に群がっているのはだれ?
チイ、こと犬神博士に現れてもらって、
悪い奴らを叩きのめしてほしいです。
posted by 理乃 at 16:05| Comment(0) | ★図書室 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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