2017年04月30日

『遠野物語』 柳田国男

この本も読むべきリストに入っているのに、
これまで読む機会がなかった本。
明治43年に出された本の口語訳ではあるが、やっと読めた。
訳は遠野で小学校の校長などを務めてこられた佐藤誠輔(せいゆう)さん。
遠野の佐々木喜善(きぜん)が語る105の小さな物語で構成されている。

物語の中から遠野の地で生きてきた人々の暮らしが立ち上がってくる。
旧家にはオクナイサマを祀っている。それは家を守る家神。
同じくオシラサマという二体の神様もいる。
一体は馬頭で一体は女の神。単純な姿なのにどこか恐ろしい。
異質な人々も登場する。
天狗は山伏ではないか。
白子は漂流してきた西洋人ではないか。
開国前に三陸海岸に流れついて住んでいたらしい。
山に住む人々も多く出てくる。
山人とは縄文人の末裔であるのではと考える柳田。
金を採る金山師。
木地師は木の茶碗などを作る人々。
狼も群れをなして出てくる。
狼は明治38年ごろまで本州に棲息していたという。
里の娘たちはときどき山に住む人々によって攫われる。
冬の満月の夜には雪女が現れる。
大勢の雪童子(わらし)を連れて。
触るものをみんな白い雪の塊に変えてしまう雪女。
60歳を超えると山に捨てられる姥捨ての習わし。
厳しい自然と向き合ってきた遠野の人々の暮らし。
一歩山に入ると、そこには農作業に勤しむ人々とは違う人々が暮らしていて、
その姿に恐れをなす。
今では失われたものが多く見られるこの本は、
自然や異質な人々への畏怖にあふれ、とても魅力的だ。

口語訳 遠野物語 (河出文庫) -
口語訳 遠野物語 (河出文庫) -
posted by 理乃 at 12:55| Comment(0) | ★図書室 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: