2017年06月08日

『村上海賊の娘』  和田竜

以前から読みたかった本をやっと読めた。
瀬戸内海って海が広がってるんだろうとばかり思い込んでいたけど、
多くの島々があって、船はその間を蛇行して進んでいたと再認識。
戦国時代、その海を支配していた海賊の根城とはどんなものか、
まったく想像できなかったけど、この小説はそれを目の前に現出してくれた。
三家に分かれた村上一族の一つ、
能島村上の当主、村上武吉の娘、景(きょう)が主人公。
能島のあまりの小ささに驚いた。
世は信長の時代。
大坂本願寺を攻める信長と本願寺を救おうとする毛利家。
毛利方についた村上水軍は籠城し兵糧尽きた本願寺側に物資を運ぼうとする。
織田方には泉州の海賊、眞鍋家。
本願寺を守るのは雑賀党。
そして木津川合戦の火蓋が切って落とされる。
恐ろしいばかりの船上の斬り合い、
炸裂する村上海賊の焙烙玉。
安宅(あたけ)や関船(せきぶね)、小早(こはや)といった軍船が
入り乱れる合戦の描写はすさまじい。
ユニークなのは史実に沿って描きながら、
主人公を景という女性にしたこと。
父に溺愛され、男兄弟と同じように育ったと設定された景は、
瀬戸内では醜女と言われた。
大きな目と高い鼻を持つ彫りの深い顔立ちと引き締まった肉体は
泉州人には美女と映った。
男勝りの性格で、うじうじしているのは大嫌い。
けれど結婚願望はあり、海賊に嫁ぎたいというのが夢。
その夢も戦いに身を投じざるを得ない自らの資質により諦める。
戦いに出向く夫の帰りをただ待っているのではない、
行動する主人公に読者は魅せられるのだろうか。
戦国の世の人を人と思わぬ恐るべき殺し合いには辟易とする。
けれど読後は乱世を思うままに疾走した海賊たちの姿に爽快感を覚える。
そして思うままに生きた景という悍婦にも。

村上海賊の娘(一)(新潮文庫) -
村上海賊の娘(一)(新潮文庫) -
村上海賊の娘(二)(新潮文庫) -
村上海賊の娘(二)(新潮文庫) -

村上海賊の娘(三) (新潮文庫) -
村上海賊の娘(三) (新潮文庫) -

村上海賊の娘(四)(新潮文庫) -
村上海賊の娘(四)(新潮文庫) -


posted by 理乃 at 12:27| Comment(0) | ★図書室 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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