市民ではないのですが、
よく拝見させていただいています。
そこで12月8日に上映されていたのが、
「あかね空」。
あんまり期待せずに見に行ったのによかった!
何度も涙が出ました。
江戸を見せてもらいました。
人が行き交う永代橋。
下町の長屋の人々の暮らし。
冒頭、浮世絵が出てきて、
そこに描かれる江戸そのものが生きた映像として流れ、
それはもう感動です。
主人公は京都から江戸に豆腐屋を出すためにやってきた永吉。
これが真面目一方の職人で、いいのです。
演じたのは内野聖陽。
この役者さん、いいですねえ!ファンです。
一生懸命、仕込まれた豆腐を作る職人気質。
江戸で出会ったのがちゃきちゃき元気な江戸娘おふみ。
演じているのは中谷美紀なのですが、
これも今まで見た中谷美紀演じる人物の中で一番かわいいと思いました。
京都の豆腐は固い豆腐に慣れた江戸っ子の口に合わず、
永吉の豆腐は売れ残ってしまいます。
でも、永吉は自らの豆腐作りを変えない。
ただひたすら真面目に豆腐を作り続ける永吉を応援したのは
近くの老舗豆腐屋の女将、おしの。
おしのは昔息子と生き別れ、その子の面影を永吉に見て、
永吉を応援することが息子への功徳になると思ったのです。
一目会ったときから永吉に魅かれたおふみも、
身内のように彼を心配し、やがて結婚します。
月日は流れ、永吉の商売は軌道に乗り、
三人の子どもにも恵まれます。
でも一番上の息子栄太郎だけが、わけあって我がままに育ち、
店を乗っ取ろうと計画する同業の平田屋にまるめこまれ
賭博場に出入りするうちに、借金を重ねます。
そうするうちに永吉が武士の早馬に跳ねられ事故死するという悲劇が訪れます。
栄太郎の借金の形に店はずるがしこい平田屋に取られることになり、
おふみは栄太郎の不始末をそのまま被り、
潔く平田屋に豆腐屋を渡す決心をします。
永吉の真心を込めた豆腐の味に
平田屋などに負けない誇りを持っていたのです。
そこで事態をひっくり返して一家を救うのが賭場を仕切る大親分の傳蔵。
傳蔵にはそうさせる過去がありました。
実はこの暗くて凄みのある恐〜い親分も内野聖陽が演じているんです。
すごい。この演じ分け。
江戸の町でひたむきに生きる豆腐屋一家。
そんな市井の人々を愛を込めて描いたのは山本一力の原作(直木賞受賞)。
脚本を書いたのが篠田正浩。
監督は篠田の助監督をしていた浜本正機。
江戸の町の豆腐職人の家から香る大豆の香り。
ただひたむきによい豆腐を作り続けた真面目な職人。
そしてそんな彼を支える周りの人々。
そんな愛すべき江戸の庶民たちを見たくなったらぜひ見てほしい感動作です。
江戸がここにあります。